工房と職人
有限会社
みやび行燈製作所
大正時代より続く、駿河竹千筋細工の工房。創業当時より大手電機メーカーなどに照明器具を納め、同時に全国百貨店に、照明器具、茶道具、花器など生活用品の卸売販売を行ってきました。現在は、日本旅館、ホテルの照明機器などオーダー製品も手掛けています。また、デザイナーとのコラボレーションで、現代の生活スタイルに合わせた新製品を次々と発表。近年では、フランスをはじめ、ヨーロッパでの新ブランド展開も行っています。
沿革
1914年 | 初代 杉山参司が竹細工業を始める |
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1965年 | 有限会社みやび行燈製作所 創業 |
1976年 | 通商産業省伝統的工芸品指定 |
2007年 | 雅俊が4代目を継承 |
2010年 | 駿河竹千筋細工新作展 静岡市長賞 受賞 |
2012年 | 静岡伝統産業工芸展 静岡県知事賞 受賞 |
2013年 | 全国伝統的工芸品公募展にて経済産業大臣賞受賞 (照明デザイナー谷俊幸氏とのコラボ作品「HOKORE06」) |
2014年 | 駿河竹千筋細工新作展 静岡市長賞 受賞 |
2018年 | 静岡伝統産業工芸展 静岡特産工業協会 会長賞 |
主なメディア出演
【テレビ】
2011年 | テレビ東京「和風総本家」 |
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2012年 | テレビ朝日「徹子の部屋」 |
2013年 | NHK BS時代劇「酔いどれ小籐次」 (竹中直人さん竹細工指導) |
2013年 | BSジャパン「杏が歩く!恋する東海道」 |
2014年 | NHK BSプレミアム「イッピン」 |
2014年 | NHK WORLD JAPAN「Artisan×Designer」 |
2014年 | BSフジ「ESPRIT JAPAN」 |
2017年 | NHK「美の壺」 |
2020年 | BMW WEB 中田英寿さん来社 |
2021年 | TBS「世界ふしぎ発見!」 |
2021年 | NHK「ダーウィンが来た!」 |
2021年 | テレビ東京「出没!アド街ック天国」 |
【書籍】
2005年 8月 | Casa BRUTUS フロム日本 |
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2012年 4月 | 職人という生き方 駿河竹千筋細工 |
2013年 4月 | Numero TOKYO |
2015年 4月 | mono |
2015年 7月 | Marisol |
2015年 9月 | JALグループ機内誌「SKY WARD」 |
2016年 7月 | アンド プレミアム |
2017年 1月 | ANAグループ機内誌「翼の王国」 |
2018年 9月 | 月刊誌「ひととき」 |
2018年10月 | 家庭画報 |
2019年 1月 | 商工ジャーナル |
杉 山 雅 俊
みやび行燈製作所 取締役社長。製作所を経営する杉山家の4代目を継ぐ長男。次男 貴英、三男 茂靖と共に伝統工芸「駿河竹千筋細工」の担い手として活躍する。伝統に胡坐をかかない、柔軟な発想と対応力で取引先を全国に増やす。近年では、ヨーロッパでのブランド展開にも注力している。
兄弟で伝統を継承
「400年続いてきた、駿河千筋竹細工を絶やしてしまいたくない」という思いから、二十代半ばで家業を継ぐことを決意。7年間の会社勤めをやめ、2代目である祖父 猛に弟子入りしました。その後、長弟、次弟を誘い、兄弟3人で「伝統工芸、職人技術の継承」という課題に取り組んでいます。先人たちの紡いだ歴史、技術の恩恵を受けながらも、時流に合わせた製品作りを心掛けています。熟練の職人による、一つひとつ手間を掛けた作品は他が真似のできない「逸品」であると自負しています。近年では、新製品の発表ごとに、全国の取引先やヨーロッパでの展示会などで好評をいただき、駿河竹千筋細工の新たな可能性を実感しています。
杉 山 貴 英
みやび行燈製作所 専務。伝統工芸士。杉山家の次男として誕生し、静岡市の地場産業の修行を経て、28歳で家業へ入る
必要な力は、一定の品質を保つ技術
「兄弟と共にみやび行燈製作所の職人として生きていく」と心に決め、家業へ入りました。駿河竹千筋細工は、0.01mmの繊細さ、緻密さが求められる伝統工芸です。サイズは数センチのものから2mを超えるもの、球状や多角形の形状まで、様々な作品を無限に作ることができます。安定した技術が、一定の品質を保ち、何年も使い続けられる強度を可能にするため、何年もかけ自分が納得するものをようやく作れるようになりました。近年のデザイナーとの共同開発では、柔軟な発想から生まれる、駿河竹千筋細工の新たな可能性、発展性を感じています。
杉 山 茂 靖
伝統工芸士。「駿府の工房 匠宿」にて、工房「竹と染」工房長を務める。杉山家の三男として誕生し、大阪や福井にて販売業の経験を経て家業へ入る。
伝統工芸に宿る「侘び寂び」
伝統工芸と聞くと堅苦しい印象を持たれがちですが、本来はもっと気軽に自由に楽しめるものです。心惹かれるままに手に取り、暮らしの中で活用してほしいと思っています。使い慣れない不便さを工夫して楽しむ時、自分らしい「物」との付き合い方が生まれるはずです。駿河竹千筋細工を通して、日本人の美意識に根付いている「侘び寂び」、物を長く大切に扱うという感覚が、新たなカタチで根付いていくことを願っています。
石 渡 春 奈
職人歴8年。地域産業界の後継者育成、新規就業促進を図る静岡市の「クラフトマンサポート事業」を利用し、みやび行燈製作所に就職。「伝統工芸士」の資格取得を目指している。
細工の美しさに惹かれ職人へ
初めて駿河竹千筋細工の菓子器を目にした時の衝撃は、忘れられません。精工さに心を惹かれ、職人を志しました。精密な美しさの中に、驚くほどの強度があります。これは、みやび行灯製作所にしか再現できない技術だと思っています。これからは、技術を磨き続けながら、私らしいものづくりをしていきたいです。駿河竹千筋細工が、もっとたくさんの人に認知され、未来へ引き継がれるよう貢献できたら嬉しいです。